三輪舎について
「おそくて、よい本」
をつくります
「人生の建設は現在、信念よりもはるかに事実に支配されている」(ヴァルター・ベンヤミン)
「風向きを変えることはできないが、帆の向きを変えることはできる」 (アリストテレス)
いま、あらゆるものには速度が求められています。
仕事はできるだけ短期間で結果が出さないといけません。街を歩いていると、出勤へと急ぐ会社員にどんどん抜かされます。各駅停車は余裕がありますが、急行列車は文字通りすし詰め状態です。残念なことに、夜行列車はほとんど廃止になって、新幹線に取って代わられました。ファーストフードはともかく、サプリメントによる栄養摂取は人間の業なのでしょうか。スローライフ、スローフードは一時の流行だったのか、あまり聞かれなくなりました。「短時間ですっきり快眠」といった書籍をよく見かけますが、 長時間労働も「すっきり」こなせるのでしょうか。いろんな質問が「はい」「いいえ」に、二者択一で答えればよくなりました。
自転車やバイクは、一定の速度が出ていないと、バランスを崩して転倒してしまう。それと同じように、いまの暮らしもまた、速度を緩めた途端、成り立たなくなる「自転車操業」です。
この数年で、こうした社会のあり方に対して疑問をもった人たちが、面白いことをし始めてきています。大都会から、あえて田舎に生活拠点を移し、 芸術を通じて地域のコミュニティを活性化する活動をしはじめたひと。高収入のサラリーマンをやめて、本当に豊かな暮らしを提案する仕事をはじめたひと。核家族の限界を感じて、家族の新しいカタチを模索し始めたひと。
速さを求められる自転車創業の世の中に対する、 オルタナティブの活動を「三輪的」と勝手に形容したいと思います。
三輪舎は、三輪的な活動を応援して、「オルタナティブ」から「メジャー」へ少しでも近づけます。